山中教授がテレビで「謝罪」をされたそうです。
小保方氏が不正問題で「道理と手順」を踏んでいたなら
こんなことにはならなかったのではないか・・・。
マスコミのふざけた報道の仕方もそうだけど、
あの訳の分からない小保方記者会見以降、
どこかしこで湧いてきた、
「オボチャン頑張れ!」
「小保方さんを護れ!国益のために!」・・。
あれもなんなんだ・・・?
小保方不正論文で何もかもが振り回される・・。↓
京大 山中教授が自身の論文巡り会見 (記者会見の映像あり) 4月28日 19時32分【京大 山中教授が自身の論文巡り会見 4月28日 NHK】
京都大学のiPS細胞研究所は、山中伸弥教授が
14年前に発表した論文に不自然な画像があると
インターネット上で指摘されていたことについて、
論文の内容が正しいことに疑いの余地はないとする
調査結果を発表しました。
一方、画像の元となる実験データは示すことができず、
山中教授は、会見で共同研究者のノートが保存されて
いなかったとして「心より反省し、おわび申し上げます」
と謝罪しました。
28日に会見した京都大学iPS細胞研究所によりますと、
山中教授が14年前の平成12年に発表した万能細胞の1つ、
ES細胞に関する論文で、画像の一部が切り貼りされたのでは
ないかなどの指摘をインターネットで受けていたということです。
研究所は、山中教授の申し出を受け調査したところ、
指摘された画像については切り貼りは確認されず、
一連の実験が行われていたことも山中教授の過去の
ノートで確認できたなどとして、論文内容が正しいことに
疑いの余地はないとしています。
一方で、画像の元となる実験データについては、
当時の共同研究者の実験ノートが保存されていない
ことなどから示すことができず、遺憾だとしました。
これについて、会見に同席した山中教授は、
「ノートをしっかり取って、いつでも示せるよう私の研究所でも
非常に強く指導している。
そうしたなかで、今回、私自身の論文に関するデータを
出せないというのは、研究所の人たちに対しても本当に
申し訳ない。
心より反省し、おわび申し上げます」
と謝罪しました。
「最初は何のことか分からなかった」
記者会見で、山中教授は次のように説明しました。
「問題の研究は、自分が多能性細胞の研究を始める
きっかけになった極めて思い出深いものだった。
その論文に疑問が指摘されていると聞き、最初は
何のことか分からないというのが正直な感想だった。
今回の実験は、何回もやっていて結果には自信を
持っているが、自分自身の実験ノートは保存していたが、
共同研究者のデータは全く保存しておらず、指摘された
実験に関するデータが示せない状況だ。
実験は、中国からの留学生と医学部の学生に手伝ってもらったが、
責任者はあくまでも私で、今から思えばすべてのノートを
私が持っているべきだった。
また、当時の自分の実験ノートは、日付に年が書いていないし、
記載も決して十分とは言えず、昔の自分が恥ずかしく思う。
今、日本の研究の信頼が揺らいでいるのは確かで、
私自身を含めてノートをしっかり取って、
いつでも示せるようにするのが信頼回復の唯一の方法であり、
それを私の研究所でも非常に強く指導している。
そうしたなかで、今回、私自身の論文に関するデータを
出せないというのは、研究所の人たちに対しても本当に申し訳ない」。
山中教授はこのように述べ、謝罪しました。
山中教授「反省、おわび」 過去の論文疑義でデータ発見できず 2014/4/28 19:07 【山中教授「反省、おわび」 過去の論文疑義でデータ発見できず 】
(一部抜粋)
山中教授は論文について
「研究結果は複数の研究者により再現されており、
研究者倫理の観点から適切でないことをした記憶もない」
と述べた。
京大iPS細胞研究所によると、論文にネット上で疑義が
指摘された13年4月に調査を開始し、山中教授から
段ボール5箱分の実験ノートの提出を受けた。
山中教授は
「画像を切り貼りするような技術はなかった。
そうする必要も理由もない」
と話した。
〔共同〕
コツコツ真面目にやって来た人が、
「正直者がバカを見る」典型。>指摘された画像については切り貼りは確認されず、そもそも謝罪する必要なんか本当は無い。それでも敢えて記者会見を開いたのは、山中教授が、
とにかく日本の科学研究を「不信」から護りたい。そう思われたからではないか・・。
14年前の2000年というのは、まだフロッピーディスクの時代。
山中教授は自分のノートは今まで全部保管してて、昨年それを提出してる。
ただ研究を手伝ってた中国人留学生のノートがなかったそうで、
その点について謝罪されたと。
これは小保方氏の論文不正問題とは全く違うと思います。
研究データ保存に限界 論文検証サイト 功と罪 2014年04月29日08時03分 産経新聞 【研究データ保存に限界 論文検証サイト 功と罪】
(2014年04月29日 産経新聞)
インターネットのサイトで科学論文への疑義が指摘される
ケースが増えている。
STAP論文の不正疑惑を最初に指摘したのは海外の
論文検証サイト「PubPeer(パブピア)」。
科学者が匿名で意見を投稿でき、世界中の論文について
検証や議論が活発に行われている。
今回の山中氏の論文に疑義を指摘したのは、日本語による
匿名の不正疑惑告発ブログ。
論文の画像を中心に著名な大学の疑惑を取り上げ、
降圧剤「ディオバン」の臨床研究データ改竄(かいざん)事件も
追及してきた。
ネットでは有名なサイトだ。
こうしたサイトは不正摘発に貢献してきた面がある一方で、
指摘内容の根拠が不十分だったり、匿名での運用に伴う
問題点などが指摘されている。
ネットに詳しい神戸大の森井昌克教授(情報通信工学)は
「重箱の隅をつつくような間違い探しは意味がない。
山中氏以外の他の著名な研究者も、ありもしない疑義を
かけられるかもしれない。
本質以外で騒がれることは科学界にとってマイナスだ」
と指摘する。
一方、14年前の論文のデータ不備を謝罪した山中氏の対応は異例
との見方も。
市川家国(いえくに)・信州大特任教授(倫理学)は
「データの保存期間は欧米では5年間が普通。
期間を限定しないと研究者に際限ない負担を強いるからだ」と指摘する。
データの保存は筆頭著者に責任があり、今回は山中氏が
共同研究者のノートも保存する立場だったが、
欧米の一般的な期間を9年も過ぎており、
「謝罪」が必要だったかは議論を呼びそうだ。
日本では保存期間に関する国のルールはないが、文部科学省は
5~7年程度とする方向でガイドラインの見直しを進めている。
マスコミが大々的に「小保方フィーバー」
(我ながら古い言い方・・)報道をしたのは1月末。
2月はじめに不正疑惑が持ち上がり、
2月中は、それこそ「不正オンパレード」発覚。
3月初めには、若山教授が
「研究の根幹が揺らいでるのと同じだ」
という言葉とともに、「論文撤回」を進言。
続けて、早稲田での博士論文まで「剽窃」が見つかる。
3月中旬、理研の調査委員会の中間報告が発表。
4月1日 記者会見。
そして現在に至る小保方論文不正問題。
私もネットで最初に「小保方論文に疑義あり」を見てから
しばらくは、それが本当かどうか分からなかったので、
ブログでも何も書きませんでした。↓
カテゴリ:小保方論文不正問題と「倫理観」小保方論文の不正は間違いないことが明らかになり、
小保方氏の記者会見後、なんとなく世間が「小保方擁護」になって
「えっ?何故に?」という思いがわきました。
ただ、私も報ステなどが、どんな報道をするのかだけは
冷静に見とかなきゃなとは思いました。
そのなかで、IPS細胞に関するSTAP細胞との比較報道が
間違っていたことを、報ステが山中教授のインタビューを通して
流した時に、初めて記事に取り上げました。
その後も様子見してたんですが、突然ネットの保守派からも
「小保方を護れ!」「不正は大したことない!」
「国益を護れ!」などと声が上がって、あっという間に
拡がったことに唖然とし、4月10日以降何度か記事を
書いたんですが・・。
小保方論文での異常とも言える不正が極端に「矮小化」され、
批判が「重箱の隅をつっつくようなこと」と取られ、
やがて「魔女狩りだ!」となってしまいました。
このコトが本当に私には到底理解できなかったのですが、
それがますますエスカレートしていきましたね。
そして挙句は、本当に「重箱の隅をつつく」人間によって、
とんでもない「剽窃の不正を行った研究者」はますます
「頑張れ!」の対象となり、この「道理と手順」を踏まない
研究者は、そのまま弁護士を4人従えて堂々としているという現状。
そして曖昧な『疑義』を掛けられ、振り回された山中教授が、
記者会見までして謝罪する・・。
本当に訳がわかりません。
かたや科学的根拠を示すための論文が、何から何までまともでなくて、
でも、その先にあるのがSTAP細胞だから「信じてやれよ~」
と言われる。
いや、だから、今のまともでない論文を撤回して、一からやって
くださいと言ってるだけなのに。
山中教授だって信じてもらえない論文なんか書けば勿論批判される。
信じてもらうために何度も何度もやってきたんでしょうし。
そしてその根拠となる論文をちゃんと発表してきたわけですし。
もう本当に意味がわからない。
小保方論文は所謂「ミス」ではなくて、完全な「剽窃」でしょ。
もう何もかもごちゃまぜ、むちゃくちゃになってませんか・・。
2005年、韓国で起こった、黄禹錫 ソウル大学教授の
「ES細胞」論文捏造事件不正事件。↓
「不正は大したことない」の危険。マスコミに惑わされず、また韓国の過去の失敗にも学ぶべき。上の記事でも紹介した、この件を扱った書籍の書評で
書かれていた言葉。↓
このような論文捏造事件を防止するために、
もっとも確実な手段は「論文捏造を防ぐこと」。これしか無いんですよね。
山中教授が仰ってるのはもうこのことズバリ。
ここまで山中教授が体を張って訴えなくてはいけない
状況なのかと虚しくなる・・。
しかし今回のこと、本当に
イジメの構造と同じだとつくづく思います。
危惧してたことですよ。
大っぴらにとんでもないイジメをするやつに、先生が注意すれば、
「殴りたかったら殴れば?」
「俺達は少年法で守られてるんだからな」
「先生が殴ったらマスコミが大問題だって騒ぐだろ?」
イジメをした側が先生に楯突く。
肩をポンと叩いたものなら、「体罰だ!」と言いつけるやつ。
先月末
、民主党の小西洋之議員がTwitterで
一般人を脅した時の経緯も根本は同じですよ。小松一郎内閣法制局長官に対して「死んじまえ!」と言った
民主党議員が一体誰なのか、twitterで質問した一般人の行為を
何故か「名誉毀損行為」とみなし、「党の顧問弁護士」に依頼して
「法的措置」を取ると脅した小西議員。↓民主党の小西議員のtwitterで起こった「恐ろしいと感じた出来事」の備忘録。元々の
「重大な出来事」が「矮小化」され、今度は逆に
何を質問しても「名誉毀損」と取られかねない状態に
こちら側が追いやられる。
批判されるべき人間が、これによって批判されることを逃れ、
名誉毀損などされる必要のない人が「顧問弁護士の存在」
という「脅し」によって『魔女狩り」される。
ネットの保守派が、「小保方叩きは魔女狩りだ!」と
言ってましたが、それは考え方が逆ですよ。
「人権擁護法案」も同じです。重大な案件が、『魔女狩りだ!」といって追求されなくなるんです。
「差別だ!」「人権侵害だ!」と言って追求できなくなるんです。みんな、手出しができなくなるんです。そして、やがてはみんな身動きが取れなくなるんです。ちなみに
「小保方叩き」という言葉を使いましたが、
勿論マスコミがやるような「バッシング」は許せません。
そしてそもそも研究とは関係ない部分が出過ぎることも
おかしいと思います。
しかし、「護れ」とか「頑張れ」も間違っていると思います。
そう言うおかしな風潮がなければ、何度も記事にすることもなく
ただ静観するだけで済んだんですが・・。
ある意味「頑張れ」や「護れ」もマスコミに振り回され
踊らされた、と言ってもいいかもしれないと思っています。
さらに、あの記者会見のようにビジュアルで「物語化」されると
判断は鈍ると思っています。「魔女狩り」という言葉に戻りますが・・、
例えば今回の山中教授の件でも、
指摘された画像については切り貼りは確認されず、
また論文の不正もないとはっきりと判っているのに、
見出しだけで、或いはテロップだけで適当に報道を見た人達は、
山中教授が小保方氏と同じことをしたと思い込み、まるで
同列扱いされてしまう。
記者会見で真実を述べても、マスコミは「釈明」であるかのように
伝え、「言い訳」をしていると思われてしまう。
これは一旦「一括り」で「悪」と思い込みで捉えられてしまうと、
その思い込みから抜け出せずに「感情的判断」によって
本質を見誤ってしまう「弊害の1つ」でもあります。
誠実に「道理と手順」を踏んで、何の不正もない人が
「とんでもない不正の人」と同列に語られる。
こんなことがあっていいのかと思う・・。
山中教授の謝罪と小保方氏の謝罪は本当に同じものですか?
多くの人が「謝ったからいいじゃん!」と許した人の謝罪と
今回の謝罪は、本当に「同じ価値」のものなんですか?【追記1】今回、山中教授が記者会見を開くに至った経緯です。↓
元データ保管の重要性を再認識 山中教授会見 2014年4月28日23時57分 朝日新聞【元データ保管の重要性を再認識 山中教授会見】
(一部抜粋)
今回の外部指摘を受けた調査結果について、
京大が約1年前に調査した際は「問題ない」として
公表していなかった。
理化学研究所のSTAP細胞論文をめぐる
一連の問題発覚後、社会的関心が高まったとして
公表することにしたという。
「今後、ノートしっかりとる」山中氏会見、一問一答 2014年4月28日23時39分 朝日新聞【「今後、ノートしっかりとる」山中氏会見、一問一答】
(一部抜粋)
――指摘はどこからあったのか。
【山中】
国内のインターネットサイトだった。
匿名サイトで正式なルートの指摘ではなく、
おもしろおかしく世間に騒がれるだけになるかもしれず、
今日まで公表しなかった。
――公表の判断理由は。
【森沢】
新潮社から問い合わせがあり、
社会的反響が大きいと思って会見を設けた。
時系列として、
ネットで「疑義」を指摘されたのは、最初に記事にも書いた通り、
昨年4月であって、その後すぐに調査され、間もなく「不正なし」と
結果も出ている。
いわば今年3月に発覚した小保方不正論文問題とは
全く関係なくそのようなことがあったわけです。
山中教授が、マスコミ発表は逆に混乱を招くとして、
公表されなかったことも何ら問題ないどころか当然だと思います。
そもそも、記者会見など全くする必要のない次元のものであって、
すぐに調査を依頼したことだけでも十分な行動だと思います。
(正直言えば、こういう『愉快犯』的な件にも、研究者が
いちいち振り回されないで対応できるような、何らかの機関が
あったほうがいいのかなとちょっと思います)
そして今回、敢えて記者会見をしたのも、週刊新潮に
どのように書き立てられるか危惧があったのも当然です。
週刊誌というのは、「見出し」がとにかく強烈で、
「見出し」だけで「読んだつもり」になる人も大勢います。
電車の中吊り広告でも相当目立つものとなります。
その「見出し」に例えば「山中教授も不正か」と
書かれるだけで「不正をした」との断言的言葉が
あっという間に一人歩きしかねない状況にきっとなります。
今やその場でツイッターに書き込まれ、すぐに
「あらぬこと」が拡がってしまいますから。
それを打ち消すことは至難の業です。
「見出し」の問題1つとってもこんな状態なのです。
また、STAP細胞が初めてマスコミに大々的に取り上げられた時、
ips細胞が引き合いに出され、「がん化し易い」という
誤った言葉が流され、患者さんたちに不安感を与えました。
マスコミで訂正をしたのが一体どのくらいあるのか(報ステも遅かった)
私にはわかりません。マスコミはいつもただ「垂れ流し」です。
あの時も山中教授はマスコミ報道の危険性を身に沁みて感じ、
また忸怩たる思いもあっただろうことは想像に難くありません。
そして何より、マスコミによって、再び「日本の科学研究に対する
不信」を書き立てられ、騒がれることを最も危惧されていたと思います。
万が一の「愉快犯」からも「自分の身は自分で守る」ためにも
若い日本の研究者達に「ノートをつけろ!」と厳しく伝えてることは
本当に重要だと感じます。
これが、日本の研究者たちを護る術だと、日本の研究を守る術だと、
よくぞ国会という場でも仰ってくれたと思います。
今回の山中教授の行動を見て、とにかく、
真面目に真っ正直に
コツコツやってきた研究者をこれ以上振り回してほしくないと、
そしてやっぱり
「道理と手順」を踏んでやってほしいと、
改めてつくづく思います。
【追記2】(2014/5/5)山中教授が記者会見で仰っていた「週刊新潮」の記事見出しが
判りましたので記録しておきます。
週刊新潮 バックナンバー 2014年5月8・15日号(2014/05/01発売論文の「データ捏造」疑惑! 本誌直撃で緊急記者会見!
単独インタビューで判明! 小保方博士は免罪されるか?
ノーベル賞「山中教授」が隠していた「小保方的」実験ノート
――
iPS細胞開発でノーベル賞を受賞した直後から、
山中教授には一つの疑惑が囁かれてきた。小保方博士と同様、
過去の論文に疑わしい実験データが載っているとの指摘だった。
学会ではタブー視されてきたこの疑惑を山中教授に直接、
問いただすと奥歯を嚙みしめながら、
「元のデータが実験ノートにない」と、告白したのだ。
ならばなぜ小保方博士は断罪されたのか?
赤文字部分の大見出しと言い、他の部分といいい、
言葉にならないです・・。
リード部分も本当に酷い・・。
倫理モラルを異常に逸脱した人間が起こした問題によって、
誇りを持って真面目にコツコツやってきた研究者が、
同じくモラルも何もない人間たちによって
ここまで
事実と反する見出しで糾弾される恐ろしさ。
ただただ下劣、卑怯者と言わざるをえない。
これはマスコミの異常性をしらしめるためにも
「忘れてはいけない出来事」として
記しておきたいと思います。
山中教授やご家族のご心労は如何ばかりかと・・・。
- 関連記事
-