「反グローバリズム」を考える。その2。 スティグリッツ氏「1%への富の集中」インタビュー。
- 2013/10/17
- 18:44
持ち上げだしましたね。
前にも書きましたが、郵政選挙の時、
「何故、まず郵政民営化ありき?」と戸惑ったのを
思い出します。
まぁ、「責任」のない立場で軽々しく「脱原発」ということ
自体むかつきますけどね。
当時、小泉政権を支えたのは安倍さん、麻生さん、谷垣さん
など今の総理、閣僚。中川さんもです。
なんていうか、「めっちゃ人材に恵まれてたやん!」と思いますね。
拉致被害者5人の帰国、自由と繁栄の弧、谷垣日銀砲、
東シナ海ガス田の中国への主張・・。
麻生さんは総務相時代は郵政の件でほんとに大変だったろうなと
ちょっと思ったりします。
小泉さんは靖国神社参拝で、ポケットから「小銭チャリ~~ん」も
ありましたね。
なんというか、単純に民衆の心を掴む旨さは確かにあると思いますが、
私は以前から好きではないですね。
安倍さんや麻生さんは、絶対にそういうことしないと思いますね。
麻生さんが今年の春の例大祭の時、あの靖国に参拝された時の
背中はそんな軽いものではなかった。
保守派が、靖国参拝するしないでわーわー言いますけど、
安倍さんも麻生さんも総理の立場としては、
靖国神社には、なにかの区切りのついた時に「報告」をしたいのでは、
と思うこともあります。
私の勝手な推測ですが、英霊への思いを持っているからこそ、
日本国を背負う「決意」というものもあって、
外からどう見られるかとか、中韓とか関係なくて、
自分の思いをどう伝えるか、ということじゃないかと思うわけです。
敢えて、強い意志で、「日本を取り戻すまで行かない」と思っている
かもしれない。
何かの決意があるのではないかと。
もうこれ以上は言いませんが。
安倍信者だとか何とか言われそうなので。
麻生さんが総理の時、「静かな環境で」という言葉にも
そんな気持ちを受けたので。
安倍さんも麻生さんも、靖国神社に参拝するというのが目的
なのではなく、靖国神社に天皇陛下が参拝されることが当たり前と
なる日本にすること、その日本を取り戻すことが目標点だと・・・。
今、厳しい現実の中で頑張ってくれている安倍政権。
海江田が昨日、本会議の質問で「円安の弊害がぁ~~~!」と
言ってました。
何なんでしょうか、一体。
菅直人が「最小不幸社会」などと所信表明演説で言ってたのも
思い出します。
前回こういう記事を書いたのですが、↓
【「反グローバリズム」を考える。アメリカの場合と、過去のトヨタのリコール問題も振り返る。】
今日取り上げる、内容と一緒に考えていくと
「最小不幸社会」というのは、「底辺社会で同じ生活をしよう」と
言ってるのとおんなじなんだなと思いましたね。
同じ日本丸に乗った国民を引きずりおろしていくような感じですか。
極端な金の亡者が「蜘蛛の糸」に連なる人たちを蹴落とすのと
同じように、下からは「妬み」の凝り固まった人たちが、
上に頑張って這い上がろうとしている人たちに手を掛け
引きずりおろそうとしている。
どちらも同じく非情な人間だと思いませんか?
ちょっとそういうことが頭に浮かぶのが今日の中身です。
それから、前回の記事にも書いたんですが、
成長戦略というのは「世界一を目指す」ということもあり、
「世界の目を日本に向けさせる」「世界に日本を売り込む」という
ことがどうしても目標になります。
でもそれは「日本の一人勝ち」が目標というわけでなくて、
日本の社会的価値観が他国でも受け入れられ、
その方法を取り込む、すなわち技術や様々な法秩序を取り込む
国が増えていく。
時間が経過していけば、その国の優秀な人材が育ち、
その国に合うものへと、恐らくは変化していく。
そういうのも「グローバリズム」と呼ばれるならば、
なにかまた「グローバリズム」の意味あいが違ってくるような気が
します。
ちょっとそういうことも思いながら、動画を見ました。↓
【ジョセフ・スティグリッツ:『世界の99%を貧困にする経済』2012/6/6 |Democracy Now!】
★なお、この番組の放送日は昨年2012年6月6日です。
経済的な格差が、先進国の中で最大になってしまった米国。
機会均等を誇っていたはずの国が、
先進国の中で均等の度合いが最も低い国になってしまったのです。
最新著『世界の99%を貧困にする経済』の中で、
ノーベル賞受賞経済学者のジョセフ・スティグリッツは、
経済格差が政治をゆがめ、民主主義をあやうくしている現状を指摘します。
ここで、警告しておきたいのは、この日本語版を提供しているのは
いわゆる「原発いらない!再稼働反対!子どもを守れ!」と叫ぶ
団体であるということです。
前回も触れたのですが、
今回の「デモクラシー・ナウ!(Democracy Now!)」は、極左でもある
「レイバーネット」のHPなどもリンクを貼って積極的に紹介しています。
twitterでも、『デモクラシー・ナウ!』の放送紹介に「在日差別をやめろ」
のタグが付いているようです。
反グローバリズム、TPPなど、安倍さんや麻生さんを叩き潰したいための
扇動が、極左と保守系の両方から砲弾がぶち込まれるような状況で、
私は本当に危惧しているのですが、これらは、
「弱い立場が強い立場に搾取される、駆逐される」
ということで、どうしても左右とも方向性がかぶってしまいます。
安倍政権は「国益を守るため」。
何よりこれを真ん中に据えて安倍総理は動いているのですが、
それを両方から潰しにかかってくる。
TPPも、交渉いかんによって、結果が大きく変わってきますからね。
言いなりになるかならないか。国益を最後まで守れるか否か。
そこにかかってくるわけですから。
しかし、正直テレビだけでなくネットでも背中から撃ってくる・・。
本当に異常な扇動で恐ろしいと感じます。
では、以下、書き起こしです。
◆司会
ここ1年で浮き彫りになったのは
米国内で拡がる格差と、トップ1%への富の集中です。
ウォール街のCSOの報酬は2011年に2割以上増えました。
証券取引委員会に報告された資料によれば、
2010年の26%に次ぎ大幅な上昇です。
一方、国勢調査を見ると、米国人の半数近い1.5億人が
貧困化低所得層に入ります。
アフリカ系とラティーノでは4割の子供が貧困です。
ゲストは「1%」という言葉を広め、格差拡大の原因を明らかにした、
ノーベル賞受賞の経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏です。
2011年5月に雑誌に載せた「1%による1%のための」が
本になりました。
「世界の99話%を貧困にする経済」。
スティグリッツ氏はコロンビア大学の教授です。
ご著書から引用します。
「ウォルマートの創業者一族6人の資産は697億ドル」
「米国人の下から3割の富の総額に等しい。」
◆スティグリッツ氏
トップがいかに裕福で底辺がいかに貧しいか、よくわかるでしょ。
米国社会の格差はずっとひどくなったのです。
本で主張したことの1つは「打つ手はあった」ということです。
米国は世界一の格差社会でしかも差は拡大している。
◆司会
世界一?
◆スティグリッツ氏
先進国の間ではね。
もっと問題なのは機会の均等という点について、
先進国の中で最低になったことです。
「アメリカン・ドリーム」の国では
移民や底辺から這い上がり成功する人々はいます。
でも問題は数です。確率です。
貧乏だったり教育のない親を持ち、出世できる人の割合は?
底辺から中流や上層に上昇する確率?、
他の先進国よりも米国の確率は低いのです。
◆司会
衝撃の事実は、今や米国は旧い欧州社会よりも階級の流動性が
ないことです。
欧州は階級社会なのに。
◆スティグリッツ氏
そうです。そこが米国の変化です。
本のもう一つの論点は、米国人のアイデンティティーにそのことが
与える影響です。
経済だけを見ても影響は大きい。
生まれてくる家を間違えるともう浮かばれない。
才能を生かせずに終わってしまう。
これでは人的資源という最重要の資産を溝に捨ててしまう。
◆司会
富裕層も最後には格差社会の大きなツケを払うのだそうですね。
◆スティグリッツ氏
ツケは全員に及びます。
途上国や新興市場には優秀で勤勉な人材が沢山いるが、
彼らの収入は低い。
なぜかというと、教育制度や法律制度などは社会全体を支える
重要な機能ですが、新興国や新興市場は広大な社会格差があり、
社会がバラバラで政治も経済も混乱しています。
これでは上位の1%でも大した成功はできません。
◆司会
高い値がつく人と付かない人の違いについて、
本には驚きの例が上がっています。
「富の配分の頂上の顔ぶれを見れば、米国の不平等は明らかだ。」
「自然法則の理解を変えた科学者や革新技術の発明家は少ない。」
「コンピューター誕生に貢献したチューリングも」
「アインシュタインも、レーザーの技術の発明者も」
「トランジスターを発明した2人組も」
「遺伝子の構造を発見したワトソンとクリックも」
「生活の向上に大きく貢献したのに、報酬のトップ集団には
インターネットのような技術革新を世に出した人々に名前はない。」
◆スティグリッツ氏
資本主義の勃興によって生じた格差拡大を
正当化する理論が19世紀に開発されました。
社会への貢献度で報酬額を決める限界生産力説です。
道徳的な正当化と経済効率の追求の両方を説明した。
でも実際は重要な貢献者が最高の報酬を得る
わけじゃない、
最高の報酬を得た人の多くは世界を破滅寸前に
陥れた投資家です。
何かが間違っている。
大不況は現状を見直す良い機会です。
経済危機で世界も自分の会社も破綻の縁に追い込んだ銀行家が、
何百万ドルの報酬を堂々と受け取っていくのを目にして
個人の報酬と社会的貢献との断絶が明らかになり、
社会の不平等を正当化する理論も霞んでしまった。
◆司会
金融業界が力を伸ばしたのはいつ?
◆スティグリッツ氏
一気に進んだわけではないけど、
グラス・スティーガル法の撤廃(※1)が決定的でした。
銀行の本来の業務は事業拡大や企業を支える融資です。
でもそれは重視するなと言い始めたのです。
慎重な融資をするのが基本の市中銀行と、
富裕層のカネを預かって博打をする投資銀行を一緒くたにし、
「大きすぎて潰せない」金融機関を作ってしまった。
これがますます肥大化し、
リスクを省みない博打や投機がはびこり、
生産的な経済成長を支える融資が後回しにされた。
もっと一般的には1980年頃に現行型の経済への進化が始まった。
企業収益からもっと搾り取れるとCEOたちは気付いたのです。
企業ガバナンス法に抜け穴があり役員報酬に歯止めがなかった。
株主は企業の所有者なのに
その企業の経営陣の報酬に口を挟めないのです。
自分が雇っている役員の報酬に発言権がないなんて変です。
そこで役員報酬はどんどん膨らみ、
世界を変えた発明家ではなく経営者が報酬の上位を占める。
◆司会
バーナーズ=リー(※2)とは何者ですか?
◆スティグリッツ氏
インターネットやなんかを作った人々です。
◆司会
ゲイツやジョブズと言った名前が浮かびますが?
◆スティグリッツ氏
もちろん彼らの役割も非常に重要でしたが、
彼らの業績の基礎になる部分は公的資金を投じて
築かれたのです。
コンピューターあってのプログラミング。
数学理論あってのコンピューターです。
貢献したのはチューリングでも
インターネットがなければネットのプログラムは作れない。
インターネットは米国政府の後押しがあって開発されました。
皮肉なことに現代経済の基盤を整えた人々は、
それを使って大金持ちになった人じゃない。
◆司会
大統領選について質問です。
共和党ロムニー候補の過去について。
オバマ支持者のニューアーク市長が
ロムニー氏が元社長だったベイン・キャピタル社(※3)を弁護して
物議をかもしました。
◆スティグリッツ氏
プライベート・エクイティ(※4)を断罪する気はない。
州の年金も組合もベイン者なども投資ファンドで運用しています。
同社の記録を全体的に見れば企業の成長も支援してますよ。
◆司会
ベイン・キャピタル社とは?
◆スティグリッツ氏
最初に言っておきますが金融セクターは重要です。
経済の円滑な運営に不可欠です。
問題は金融セクターが道を踏み外したこと。
融資をして雇用を創出するはずが雇用を破壊している。
資本配分とリスク管理が役割なのに。
ベイン・キャピタルの問題は2つ。
彼らの業務の大半は財務リストラで雇用を創出しません。
企業からカネを絞り出して体力を奪うので
数年後には行き詰まり失業者が出る。
効率化して持続可能にする企業リストラは重要ですが、
多くの場合そうなっていません。
もう一つは税法の問題です。
多くの人々が腹を立てている。
生産性の向上は雇用を生む。
適切なリストラは重要な仕事ですが、
それにしてもこの業界の人々は、なぜこんなに税金が安いのか?
トップ1%の人々の税率は平均で約15%です。
勤労者が治める税率よりも投機師のほうが低いなんておかしい。
◆司会
ベイン社を擁護した市長は攻撃されて撤回しましたが、
オバマ政権の内部は揺れています。
ロムニー候補の選挙の売りは州知事時代よりもベイン社での経歴です。
ベイン社は民主党議員とにつながりも強い。
クリントン政権下であなたが経済指紋委員長だった時も、
クリントン氏はベイン社の肩を持ち問題点に触れるのを避けましたよね。
ロムニー氏のオフショア投資はどう思いますか?
クリントン大統領は実業家に甘かったのですか?
◆スティグリッツ氏
ロムニー氏の主張は「仕事がデキル実業家こそ大統領になるべきだ」。
でも経営学を学んだブッシュ大統領の8年間は酷い経済運営でした。
赤字は急増、景気は失速、最後は大不況に陥った。
彼はハーバード大学のMBAを売り物にしていましたが、
そんなものが国の統治に必要な資格でしょうか?
自分の金儲けは上手でしょうが国の統治には不要です。
重要なのは公共政策の理解です。
個人攻撃はこの辺にして原則を語りましょう。
基本は簡単。
「各人が自分の配当分の税をちゃんと収めること」
彼らが勤労世帯の税率の半分ではまずいでしょう。
だからオフショア(※5)で税金を逃れもいけない。
ケイマン諸島(※6)が金融のメッカなのは、
気候が電子送金に適しているからではありません。
理由はただひとつ、規制や課税から逃れるためです。
我々の経済の基本的なルールの破壊です。
大統領選に出る人は国民に手本を示す立場ですから、
正しい納税や公正負担のシンボルを目指すべきです。
オフショア口座(海外の外国人非課税あるいは優遇税制口座)を
使ってはマズいでしょう。
もう1点、企業は価値を生み出し、新規雇用を米国に創出すべきです。
この点でも米国の租税制度は歪んでいます。
大統領候補なら歪んだ税制を利用せず改革を唱えるべきだ。
雇用を海外に移したり生産より投機を優先させないように。
投資家のウォーレン・バフェットは言いました。
「秘書より自分の税率が低いのはおかしい」
ロムニー氏もはっきり言って欲しい。
雇用の海外流出を促す税体型ではダメだと。
◆司会
ベイン社の元重役コナード氏は所得格差を倍増せよと論じている?
◆スティグリッツ氏
驚きましたよ。
昨日彼と討論しましたが「おこぼれ経済」の信奉者です。
最上層に大量にカネを注げば革新に投資され社会の全員が潤う
という論法です。
本当にそうなら万歳です。
米国は格差が激しいから。
でも正反対の証拠が圧倒的です。
トップは成長しましたが平均的な米国人は?
大半は15年前より貧しく、底辺層ではそれが更に酷い。
生活のためにフルタイムで働く男性の場合、
全体の真ん中に当たる人の収入は半世紀前の1968年よりも
低いのです。
米国の富はトップの層だけに流れ大半には回りません。
第2次大戦後には成長が平等に行き渡り格差は縮小した。
格差が開いた1980年以降より、経済成長のペースは早かった。
格差が大きいほうが成長するなんてナンセンスです。
◆司会
ノーベル経済学者のスティグリッツ氏です。
新著は「世界の99%を貧困にする経済」。
欧州全体が実施を検討している緊縮財政政策について、
「自殺協定」に等しいと評しましたね?
◆スティグリッツ氏
欧州の現在の緊縮財政政策は国をどんどん衰弱させるでしょう。
2010年にギリシャ危機が始まった時、予測したとおりになっている。
景気はどんどん後退、若者の失業率は50%に至り、
政治的な混乱が生まれています。
スペインの緊縮策も同じです。
スペインも若者の失業率は50%、全体でも20%を大きく超えます。
スペインの保守政権も「もうお手上げ」と言っている。
前政権の経済政策をさんざん批判して当選したくせに。
緊縮財政の実験は既に何回も行われてきた。
現代史の最初の例はフーバー大統領。
株の暴落に緊縮財政で対応した。
メロン財務長官の入れ知恵でした。
結果は大恐慌です。
韓国やタイやインドネシアでIMFが緊縮を強要した時も経済は低迷しました。
結果はわかりきっているのに何故欧州は同じ轍を踏むのか。
私が予言したとおりです。
◆司会
米国も他人事ではないですね。
共和党は軍事予算は死守しつつ社会福祉の削減を唱えている。
ライアン下院予算委員会長です。
◆ライアン下院予算委員会長
成長路線を狙い緊縮財政を予防しましょう。
緊縮政策を予防する予算案です。
債務管理と税制改革で成長を促す。
医療保険や年金制度の破綻も防ぎましょう。
オバマ氏の予算案では欧州のような緊縮財政が待っている。
我々はそれを防ぎたい。
◆司会
ウィスコンシンのライアン議員です。どう思いますか?
◆スティグリッツ氏
緊縮に汚名が着せられるのは喜ばしい。
問題は政策です。
彼の提案では経済の基盤を弱めてしまう。
教育や技術やインフラに政府が投資しないと経済が衰える。
◆司会
お金はどこから?
◆スティグリッツ氏
ありがたいことに現在の金融市場は喜んで米国にお金を貸します。
金利がゼロや長期金利1,5%で。
この金利で調達できるなら凄い高リターンの投資ができる。
やらない手はない。
右派には国家のバランスシートの借金の側しか目にはいらない。
もう一方の側にある「資産」を見ないのです。
長期的な経済成長に重要なのは資産です。
企業が研究開発費や投資をすべて削ったらどうなりますか?
倒産まっしぐらです。
それがライアンの予算案です。経済成長しません。
◆司会
ロムニー候補の共和党が大統領選で勝ったら、
不況に可能性が高まると書きましたね?
◆スティグリッツ氏
共和党はずっと予算削減に集中してきました。
国民は気づいていないが緊縮財政はすでに始まっています。
金融危機の前に比べ公務員数は100万人減っています。
マクロ経済の教科書では、
民間経済が弱い時は政府が支出を増やして、経済を刺激して均衡をとる。
民間はブレが激しいですから。
でも米国は民間経済が減速すると、100万人の雇用を削った。
共和党政権ならもっと削減するでしょう。
ウィスコンシン州のように公務員を減らします。
その結果米国経済は更に沈下する。
欧州経済は既に大荒れになりそうなのに、
今こんな政策をとれば米国経済も低迷を通り越し
恐慌に突入しかねません。
◆司会
昨日上院での共和党の全議員が賃金公正法案の成立に反対しました。
この法案の女性労働者への影響は?
◆スティグリッツ氏
これは著書で取り上げたテーマの1つです。
米国の格差の特徴はトップ1%への富の集中です。
中流層はスカスカになり極端な貧困層が増えています。
中流以下の層を見ると弱体要因の1つは差別で、
以下、明らかな差別だ。
これが国の経済を弱め更に格差を広げます。
賃金公正法案の目的はそんな差別をなくすことでした。
30年前よりはマシで進歩と意識変革はあった。
でもやるべきことはまだまだどっさりあります。
◆司会
特に非白人の女性は。
◆スティグリッツ氏
今回の経済危機でも銀行はアフリカ系とラティーノを狙って、
詐欺的なローンを組み、
割高の手数料や高金利を要求していたことが判明しました。
こうした差別を追求されて
銀行は罰金や和解金を支払う羽目になりましたが、
アフリカ系やラティーノ底辺層の資産は結果的に、
ごっそり持って行かれた。
所得の格差以上に資産の格差が広がっています。
上位1%が総所得の2割。
総資産の4割を占めます。
ラティーノとアフリカ系の貧富の格差は酷すぎます。
◆司会
ウォール街占拠のことも書きましたね。
◆スティグリッツ氏
今の経済システムは不公平だと大勢が思っている。
チュニジアで始まった抗議運動で失業は問題の一部に過ぎず、
このシステムの不公平さが問われていたのです。
経済危機の後、政府は問題を修正するはずだった。
でも期待は外れた。
経済的な不公平とそれを修正できない政治制度。
この2つが組み合わさって「ウォール街占拠」(※6)に駆り立てたと思います。
◆司会
NY市長はウォール街について、
市の重要な税収源だと述べました。
◆NY市長
市で働く人々の職を奪おうとする抗議行動は非生産的です。
労組も運動に参加していますが
彼らの給料を払っているのは彼らが非難する人々の税金です。
◆司会
どう思いますか?
◆スティグリッツ氏
市長は完全に間違っています。
民主主義の基本は人々の意思表示です。
人々は政治家に声を届けたかった。
政治家が社会の不平等、金融システムの欠陥に取り組むことを望んだのです。
でも次第にはっきりしてきました。
カネが政治の推進力になっている。
お金が市場の姿を決定しています。
市場は独立した存在ではなく議会が作る規則に則って動きます。
この規則を作る政治家が1%の利益ばかりに配慮し、
社会全体を無視するのはおかしい。
オキュパイ(占拠)運動はこのいらだちから生まれました。
民主政治のはずなのに99%の声が通らないのです。
◆司会
オキュパイ(占拠)運動の現場にも行きましたね?
◆スティグリッツ氏
多数派の利益を反映する政治がとても重要だと思います。
例えば米国の破産法ではデリバティブに再優先権があります。
投機を促す商品なのに。
一方で学生は破産しても負債を免除されない仕組みです。
◆司会
ゲストはコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ氏。
新著は「世界の99%を貧困にする経済。」
新著の最後で一連の提言をされました。
格差の解消のために最も重要な事は?
◆スティグリッツ氏
格差の問題を診断し原因を突き止め提言しました。
格差がどのようにして経済をダメにするかを示しました。
不平等は高く付く。
都会の不均衡が心配のタネです。
その主要因は公教育です。公的支援がもっと必要だ。
国の最高の就職先への扉を開くエリート校を見ると、
下から50%の層の出身者は学生全体の8%に過ぎません
市場を支配する法や規則はトップ層に有利で、
他のものには不利に働く。
競争排除を取り締まり、破産法を改正する必要があります。
企業統治符を改革し金融制度が大多数の役に立つようにする。
経済関連の法律をすべて変えなくては。
効果を上げそうな経済改革の青写真はありますが、
問題は今の政治です。
不平等であればあるほどトップの政治権力が強まる。
その権力者は定める法律が経済格差をさらに助長する。
民主主義を機能させるために政治改革が必要だ。
シチズンズ・ユナイテッドも悪例の1つです。
一人1票の民主主義の原則が1ドル1票になってしまった。
このような民主主義では99%のニーズは無視されます。
◆司会
欧州では不平等や緊縮財政と共にファシズムが台頭していますね。
米国も含めてご意見下さい。
◆スティグリッツ氏
民主主義が機能しないと幻滅が生まれます。
米国の投票率の低さも幻滅の表れです。
2010年の中間選挙で若者の投票率は僅か20%でした。
どっちが勝っても大差ないというメッセージです。
共和党でも民主党でもカネがある方が勝つ。
幻滅は人を過激にします。
欧州では極右政党の過激派が人気を得ている。
米国で台頭する茶会党はもう少し穏健ですが、
茶会党はいつでも過激な運動に発展しかねません。
寛容性を欠き国の問題をすべて人のせいにする。
◆司会
「オキュパイ(占拠)」運動は?
何に力を入れるべきでしょう?
改革を成功させる方策は?
◆スティグリッツ氏
占拠運動でとても良かったのは大多数は運命共同体だといったこと。
金持ちと貧乏人の対決ではなく99%の対決です。
つまり皆が沈む時は一緒だ。
国民の圧倒的多数の利益にかなう政策を追求しよう。
階級対立ではなく国全体が1つです。
これが99%の意味です。
そのことを発信し続けて欲しい。
不平等は米国社会を分解し酷く弱体化させています。
本で一番伝えたかったことがある。
従来の経済学は格差の縮小は代価が必要と説きます。
平等は経済を弱体させると。
でもそれは間違いです。
経済の好調や成長や効率性と格差縮小は対立しない。
両立できます。
占拠運動が発すべき重要なメッセージはそれです。
◆司会
ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツさんでした。
日本と「右派、左派」の概念が少し違って聞こえるのと、
「多民族、移民国家」であることが、そもそも違うので、
後半は特に、アメリカを日本と全く同じ状況と見ることは
出来ませんが、最も重要な経済問題と対策については
共通項として見ることが出来、自分には勉強になります。
では前回に続き、またまた経済用語のお勉強ですだ・・。
◆(※1)グラス・スティーガル法の撤廃
グラス・スティーガル法とは?
個人から預金を集めて企業に貸す商業銀行と、
証券の売買を手伝ったりする投資銀行(企業相手の証券会社)が
分離(銀証分離)。
つまり安全度の高い貯蓄用銀行と、高いリスクを取る投資用の
銀行に分けることを定めた法。
【グラス・スティーガル法無視がサブプライムを生んだ。】
(2010年4月12日ニューズウィーク日本版)
◆(※2)バーナーズ=リー
URL、HTTP、HTML の最初の設計は彼によるもの。
【ティム・バーナーズ=リー - Wikipedia】
◆(※3)ベイン・キャピタル社
グローバル的に、経営コンサルタントとプライベート・エクイティ投資を
している会社。
【Bain Capital】
◆(※4)プライベート・エクイティ
未上場企業の株式を意味する。
未上場企業の株式の取得・引受を行う投資行為を
プライベート・エクイティ投資と呼ぶ。
ベイン・キャピタル社もこれを行う。
【日本プライベート・エクイティ協会│
Q:「プライベート・エクイティとは、どのようなものですか? 」】
◆(※5)オフショア(offshore)
原義では「off(離れて)」と「shore(沖)」で「沖合」を意味する
ことから、「国または本土の沿岸から遠く離れた地域(海外)」
のことをいう。
金融用語では、
「非居住者(外国人)に対して、租税環境を優遇している」
国または地域を指す意味で使われている。
【オフショアとは|金融経済用語集】
◆(※6)ケイマン諸島
アメリカ東海岸の南端、フロリダ州のマイアミから南へ、
キューバを飛び越えた、中南米カリブ海にある英国領の諸島。
非居住者(外国人)に対して、租税環境を優遇している
「オフショア」の島。
タックスヘイブン(租税回避地)。
所得税や法人税などが低い、または無税とされる。
実際にどんなところかというと。↓
【オリンパス巨額損失隠し事件の舞台、
税金の無い島ケイマンへ行ってみた2012年12月19日 - GIGAZINE】
コンビニすらないような小さな街にズラズラぁ~~~~!っと並ぶ
私書箱。
実態を持たずに住所だけを置くペーパーカンパニーが
無数にある証拠とも言える・・。
だそうで。
今年の夏のNHK番組に出てた、節税のためにコスタリカに移住した
超富裕層の米国人投資家のような人が住んでいる、
というのとはレベルが違う。
脱税、マネーロンダリング(資金洗浄)の温床。
オリンパスも関係したところですね。
しかぁ~し!今年になって国税庁が必死で、色々と調査しているようです。
頑張れ!! 国税庁!!↓
【国税庁がタックスヘイブンに財産を持つ日本人リストを大量入手 2013年06月02日】
【タックスヘイブンに所在する事業体に関する情報の入手について|報道発表資料
国税庁 平成25年5月】
そして麻生さんもG20で、率先して多国籍企業の課税逃れ対策の協議を
進めてくれています。
ついでに言えば、最近、タックスヘイブンがらみで
米アップル社も問題になったそうです。
手口は、アイルランド政府と法人税率を2%以下にすると合意し
(通常は12・5%)、アップルが同国に設立した子会社に利益を
蓄えていたそうです。
結果として、米国の法人税を脱税していたと米議会から指摘
されたそうです。
◆(※6)「ウォール街占拠」
ソーシャル・メディアを利用した抗議運動、
「ウオール街を占拠せよ(OWS)」(オキュパイ・ウォール・ストリート)。
2011年9月17日、突如として、米国の若者たちが
ニューヨークの「ウオール街」に近いズコッティ公園に
座り込みデモを開始。
「ウオール街」という世界最大の金融機関の牙城をターゲットに
した直接行動。
それまでのように「グローバリゼーション」という抽象的な相手を
ターゲットすることよりは、「ウオール街」という見える敵を
攻撃の対象に転換した。
こういうのもちょっと参考に。↓
【世界中に広まる「ウオール街占拠」運動 2011年11月 北沢洋子の国際情報】
OWSの中に「アメリカン・ドリーム運動」という傘下組織がある。
これには労組や社会正義グループが入っている。
彼らは、近くの古い朽ちかけた橋で抗議デモをしようと呼びかけた。
「アメリカン・ドリーム運動」のスポークスマンのAndy McDonaldに
よれば、
「多くの都市で、これらの橋は重要なインフラでありながら、
修理できないという事実を明らかにするためだ」
と語った。
橋占拠デモは、シカゴ、デトロイト、ハートフォード、コネティカット、
ヒューストン、ロサンジェルス、ミルウオーキー、ミネアポリス、
フィラデルフィア、ポートランド、オレゴン、セントルイス、ミズーリなどで
行なわれた。
その中で、ラッシュアワータイムにニューヨークのブルックリン橋で
繰り広げられた橋占拠デモがあった。
ロサンジェルスでは、金融街に近いフォース・ストリート橋が占拠された。
ここでは20人が逮捕された。
シカゴでは、強風と氷点下の寒気にもかかわらず、シカゴ川に
かかるラサール・ストリート橋で、「橋を占拠せよ」と叫びながら、
デモを行なった。
シアトルでは、900人が、ワシントン大学の近くにある
ユニバーシティ・ブリッジをデモした。
カルフォルニアのオークランドでは、警察の対峙が厳しいので、
橋占拠デモは、木曜日から土曜日に繰り越された。
彼らは橋を象徴としてあげただけで、銀行に対する糾弾、
職をよこせ、そして、99%と1%のギャップを縮めよと要求した。
こうして見てきますと、安倍政権の実行力というのを凄く
感じるわけです。
確実にやってますよ、本当に。
実行してるんですよ。
アベノミクスはノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ氏の
唱える方向と同じ。
日本の進むべき道を進み、現実的に、効果が現れている。
民主党のやってきたことって、マスコミが大声で叫んでたことって、
日本を潰すためだったのね、と改めて思うわけです。
民主党もマスコミも「日本を分断」しようとしていました。
明らかに。
大企業や公務員、そして一般の国民。
こういう「日本丸」に乗ってる人間たちの気持ちを
分断しようとしたわけですよ。今もですけど。
安倍さんが言ってた「法人と個人を分けて考えることはしない」という意味は
やっぱりこういう分断を止める、そういう意識を変える、
「日本全体で頑張る。」
それを目指していると本当に思うんです。
日本を支える「もの作り」。
これを元にして、自信を持って成長していくんだと。
あと、スティグリッツ氏の
「ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズらの役割も非常に重要だったが
彼らの業績の基礎になる部分は公的資金を投じて築かれた
ものである」
との言及は、本当にそうだなぁと思いますね。
山中教授のIPS細胞研究も、いわゆる、その「業績の基礎」となる部分
であるわけで、山中教授の頭脳と努力に、絶対的に国からの援助が必要で、
それによる良質な研究環境、人、もの、総合的な協力が欠かせなかった
わけですよね。
教授が「マラソンで資金を集めた」というのが「笑い話」なんかではなく
「現実」であったことは「政治の異常さ」を物語る1つの証明でもありました。
ちなみにこの件に関しては、麻生内閣で、21年度補正予算にて
iPS細胞研究(関連研究含む)に100億円 という大きな予算が
つけられたにもかかわらず、鳩山政権でこの補正予算を執行停止し、
しかも既に執行されている分までも回収をしたのですよね。ったく。
それと、今回の「デモクラシー・ナウ!(Democracy Now!)」中に出てくる
「ウォール街占拠」運動ですが、
日本の反日連中はこの運動と似たことをしていますよね。
毎週金曜日に行っている首相官邸前での脱原発デモとか、
加藤登紀子や坂本龍一や大江健三郎が参加した脱原発デモ。
また、7月にあった参院選において
市民の党の齋藤まさしや三宅洋平が行った
「選挙フェス」「ROCK THE VOTE」という手法。↓
★【「選挙フェス」「ROCK THE VOTE」が生みかねない3年後の
「第二のオウムの危険」】
全部、アメリカの真似っ子なんですよ。
(反米を叫びながらヒッピー気取り、さらに子供を米国留学させたり、
というのもよくある。)
でも中身は全く違う。
アメリカは、「働く場所がほしい!」と99%側の労働者たちが
その意志を伝えるためにやっていた。
日本のは、全く違う。
風評を起こし、福島の人たちを差別して脱原発?
そして毎日苦慮しながら、電気を節約し、頑張っている中小企業を
逆に苦しめるようなデモ。
日本の経済復活の足を元から引っ張る人たちのデモ。
腹が立ちますね。
彼ら反日連中の立ち位置は、緊縮財政。
日本企業や公務員を憎む側。
菅直人の言ってた「最小不幸社会」。
アレは、完全に中流、公平社会を自ら放棄して、
「これ以上希望も持てない貧しい社会で適当に暮らそう」
というものだった。
そしてそのカゲで一部の人間が甘い汁を吸う。
そういうものだった。
まさしく共産主義的思想。
上の方にも書いたけど、
極端な金の亡者が、「蜘蛛の糸」に連なる人たちを蹴落とし、
下からは働く意欲の乏しい「妬み」に凝り固まった人間が、
上の方で頑張って這い上がろうとしている人をむんずと掴み
引きずりおろそうとする。
そんな光景が目に浮かぶのが「最小不幸社会」。
上も下も、反日と同じ。
民主党政権は、こうした人間のマインドが、マスコミの扇動によって、
日本人に広く蔓延してしまったから、起こってしまった。
でも日本は、電車とホームの隙間に人が落ちて挟まってしまった時、
そこに偶然居合わせた人達が一致団結して、車両を押し、助ける。
それが出来る国。
日本の「価値観」。
麻生さんが言ってたように、現代の日本の法制を取り入れ、
しっかりと法治国家としての基盤固めを目指す国も
たくさんあります。
自衛隊のイラク復興支援活動でも、インフラ整備を伝え、
イラクの人たちと共に働き、共に汗をかいて、
信頼を築いて、最後はイラクの人たちに任せる。
安倍さんがよく言う「価値観外交」とはこういうものではないかと。
日本の目指すものは、アメリカでも危惧されている「グローバリズム」とは
違うものだとやっぱり思う。
これを上手く伝えることが自分にはなかなか出来ないですが・・。
何とか解ってもらえたらと、拙い言葉で書き連ねる毎日が続きます・・。
【追記】
2021年9月。
菅義偉と河野太郎の政権が、ようやく終わりました。
菅が総理になった時、全ての扇動が、その前から警戒していた
河野太郎界隈と橋下維新のパフォ政治にあると思っていましたが、
その親玉が菅義偉であることが判りました。
菅は、第一次安倍政権の時、既に安倍さんや麻生さんを
最初から潰しにかかっていた。
2007年の扇動も、2009年の扇動も、そして第二次安倍政権も
全て、嘘と捏造報道で徹底的に国民の目の前で「極悪人」に
仕立てて晒し者にし、冤罪をかけて息の根を止めるほどまで
潰すために、味方のフリして近づいて拉致問題対応で信用させ
官房長官へとのしあがり、そして内側から扇動を繰り返し仕掛けて
きたのだと。
小泉と河野洋平を継承して。
菅・河野・維新の菅一派こそがグローバリストであり、強い者だけが
より強くなって、特別な世界を築き、後の国民は奴隷になり搾取される。
それが連中の目指す世界なのだと。
えげつない扇動は、未だ延々と続いている・・。
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