備忘録:ダイヤモンド・プリンセス号で懸命に頑張る人達~高山義浩氏のFacebookより~
- 2020/02/22
- 22:51
新型コロナウイルス対応について、神戸大学の
岩田健太郎教授が、突如Youtubeに批判動画を
上げ、ネットで拡散、TVでも連日、朝から晩まで
何度となく流されました。
~ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。
なぜ船に入って一日で追い出されたのか。~
なる題名で。
それについて、同クルーズ船にてDMATのメンバーとして
活動されている高山義浩氏が反論を書かれました。
いや、「反論」というよりも、実に丁寧に「事実」を伝えて
くださったのですよね・・。
岩田氏の扇動的な言葉とレッテル貼り・・。
その中でも、「COVID-19 製造機」なる言葉は、
高山氏がFacebookで指摘されている
「下船していく乗客の方々、現場で頑張っている方々を
追い詰めかねない」
この言葉どおり、極めて危険な言葉であり、私も、本当に
許せない思いです。
以下、高山氏の反論文には、とても大切なことが書かれて
いますので、自分のブログでも備忘録として留めておきたいと
思います。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2703278763058947&id=100001305489071
★魚拓
【高山義浩氏のFacebookより】
岩田 健太郎先生の動画(コメント欄にリンク)を拝見して、まあ、
「岩田先生らしいなぁ」と思いつつ、あまり気にしていなかったんですが、
しっかり炎上しているようです。
岩田先生をご存じない方々には、ちょっと刺激が強すぎたのかもしれません。
ただ、下船していく乗客の方々、現場で頑張っている方々を追い詰めかねない
内容なので、事実は事実と認めつつも、動画のなかに登場する当事者として、
勘違いされていること、抜けているところは修正させていただきたいと思います。
>1日で追い出されてしまいました。
事実です。
正確には、船内におられたのは2時間弱ですね。
ご覧になったのは、ラウンジ周辺のみと認識しています。
>厚労省で働いている某氏から電話がきて「入ってもいいよ」と、
「やり方を考えましょう」ということでした。
これ、私ですね。
ただし、「入ってもいいよ」とは言ってません。
その権限はないので。ただ、「やり方を考えましょう」とは申し上げました。
そして、環境感染学会が活動していたので、そこを通じてなら活動できるかも
しれませんとアドバイスしました。
でも、申し込むも(しばし放置されたのちに)断られたとのことでした。
>DMATのメンバーとして入ってはどうかというご提案を厚労省の方から
いただいた
これ、私です。
その通りです。
>DMATの職員の下で感染対策の専門家ではなく、DMATの一員として
DMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげる
これ、私。
ただし、「入れてあげる」とは言ってません。
その権限はないので。
ただ、
「DMATとして入る以上は、DMATの活動をしっかりやってください。
感染管理のことについて、最初から指摘するのはやめてください。
信頼関係ができたら、そうしたアドバイスができるようになるでしょう」
と申し上げました。
というのも、現場は乗客の下船に向けたオペレーションの最中であって、
限られた人員で頑張っているところだったからです。
そうしたなか、いきなり指導を始めてしまうと、岩田先生が煙たがられて
しまって、活動が続けられなくなることを危惧したのです。
まあ、クルーズ船とは特殊な空間ですし、ちょっと見まわしたぐらいで
アドバイスできるものではないとも思ってました。
もちろん、岩田先生の豊富な経験を否定するものではありません。
ただ、DMATや自衛隊、検疫所など多様な組織が重層的に活動している
特殊な環境ですから、まずは慣れていただくことを優先するよう私は
求めたのです。
>「分かりました」と言って現場に行きました。
というわけで、岩田先生は約束してくださいました。
>DMATのチーフのドクターと話をして、そうすると
「お前にDMATの仕事は何も期待していない、どうせ専門じゃないし、
お前は感染の仕事だろう、感染の仕事やるべきだ」
という風に助言をいただきました。
これ事実です。
岩田先生は、これで自分は感染対策についての活動ができるように
なったと理解されました。
ただ、船には、DMATのみならず、厚労省も、自衛隊も、何より船長を
はじめとした船会社など、多くの意思決定プロセスがあります。
その複雑さを理解されず、私との約束を反故にされました。
せめて、私に電話で相談いただければ良かったんですが、そのまま
感染対策のアドバイスを各方面に始めてしまわれたようです。
結果的に何が起きたか・・・、現場が困惑してしまって、あの方がいると
仕事ができないということで、下船させられてしまったという経緯です。
もちろん、岩田先生の感染症医としてのアドバイスは、おおむね妥当
だったろうと思います。
ただ、正しいだけでは組織は動きません。
とくに、危機管理の最中にあっては、信頼されることが何より大切です。
>アフリカに居ても中国に居ても怖くなかったわけですが、ダイアモンド
プリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。
これは岩田先生の感受性の問題ですから、否定するつもりはありません。
また、船という特殊な閉鎖空間において、新興感染症が発生しているわけ
ですから、怖くないはずがありません。
ただ、そのなかで継続して頑張っている人たちがいることは、ぜひ理解して
ほしいと思います。
ちなみに、私は明日も船に入ります。
課題は多々ありながら、これまで少しずつ改善させてきました。
まだまだ改善の余地はあります。
ただ、乗客がいる以上は逃げ出すわけにはいかないのです。
少なくとも全てのオペレーションが終わるまでは、乗客を下船させて
地域に、世界に放つわけにはいきませんでした。
最優先事項は身を守ることだと感染症医の端くれとして私も思いますが、
2週間にわたり船のなかで頑張っている人たちは、乗客を支えながら
日本と世界を守ることを最優先としているのです。
そういう事態になってしまったことについて、政府を批判することは
構いませんが、解決を与えないまま現場を恐怖で委縮させるのは
避けてほしかったと思います。
逃げ出せない以上は・・・。
>ダイヤモンド・プリンセスの中はグリーンもレッドもグチャグチャに
なっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない。
感染症医として「グチャグチャ」と表現されるのは、分からないことも
ありません。
でも、この表現はゾーニングがまったく行われていないかのような
誤解を与えます。
しかしながら、実際はゾーニングはしっかり行われています。
完全ではないにせよ・・・。
たしかに、先進国の病院であれば、あるいは途上国でセットされる
NGOや国際機関による医療センターであれば、もっと洗練された
感染対策が実施されるでしょう。
でも、いきなり、約3700人の乗員・乗客(しかも高齢者が多い)において
新興感染症が発生した船舶・・・ というミッションは極めて複雑なのです。
私は海外でのNGO活動に関わったことがありますし、現在も国際NGOの
理事を務めていますが、どんなNGOであっても、あるいは国際機関で
あっても、これが混乱状態から始まることは避けられないでしょう。
この2週間が反省すべきところがなかったとは言いませんが、ここまで
現場はよく頑張ってくれたなと私は思います。
精神論と嘲笑されるでしょうが・・・。
>検疫所の方と一緒に歩いてて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりする
わけです。
さすがに、これは違います。
そのような導線にはなっていません。
患者ではなく、乗客ではないかと思います。
乗客ですら、そのようなことは稀だと思います。
>話しましたけど、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ないと。
感染症医はコンサルタントとしての能力が求められます。
それは聞いてもらう能力でもあります。
私は聞いてもらえなかったとき、相手がダメだとは思いません。
自分の説明の仕方が悪かったと思います。
>でも僕がいなかったら、いなくなったら今度、感染対策するプロが
一人もいなくなっちゃいますよ
これは間違いです。
毎日、感染症や公衆衛生を専門とする医師が乗船して指導しています。
ご存じなかったんだと思います。
まあ、ご自身に比べればプロのうちに入らないと言われると、返す言葉も
ありませんが・・・
>シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。
シエラレオネにおいて、先進国が運用する医療センターのことだと
思います。
最貧国の市中病院の感染管理の悲惨さと同一視させることのないように
お願いします。
>エピカーブというのがあるのですが、そのデータを全然とっていないと
いうことを今日、教えてもらいました。
これ間違いです。
岩田先生のせいではありません。
教えた人が知らなかったんでしょうね。
感染研がエピカーブを公表しています。
新たな報告を加えてバージョンアップされるでしょうが、すでに公表して
ますし「全然とっていない」わけではありません。
以上、私なりに感じたことを述べました。
見解の相違もあれば、私が間違っているところもあるでしょう。
ぜひ、ご指摘ください。
ともあれ、私は岩田先生の「志」を否定するつもりはありません。
クルーズ船の対応についても教訓としていけるよう、きちんと検証
して活かしていくべきです。
そもそも、こんなことは初めての取り組みです。
失敗がないわけがありません。
それを隠蔽するようなことがあれば、それは協力してくださった
乗客の皆さん、仕事を放棄しなかった乗員の方々、自衛隊の隊員
さんたち、そして全国から参集してくれた医療従事者の方々を裏切る
ことになります。
ただ、いま私たちの国は新興感染症に直面しており、このまま
封じ込められるか、あるいは全国的な流行に移行していくか、
重要な局面にあります。
残念ながら、日本人は、危機に直面したときほど、危機そのものを
直視せず、誰かを批判することに熱中し、責任論に没頭してしまう
傾向があると感じています。
不安と疑念が交錯するときだからこそ、一致団結していかなければと
思っています。
岩田動画は削除されましたが、海外メディアも繰り返し報道されて
しまいました。
一度拡散されてしまった嘘、TVで流されてしまった嘘を、完全に
正すことは、もう無理なのです・・。
誤った認識を植え付けられた多くの国民は、称えるべき人達を
逆に「悪」だと思い込み、叩きまくります。
こうして、貶められ、陥れられた厚労省、DMATの方達は、いつまでも
謂れのない誹謗中傷、罵詈雑言を浴び、バッシングを受け続ける。
耐えられません・・。
たった一人の「自分売り」のせいで、全てが壊れてしまう。
見えないところで真面目に懸命に頑張る人達が、あっという間に
潰されてしまう。
そういうものをずっと何度も見てきました。
背中から撃つ人間も然り。
ずっと訴えてきました。
ツイッターでも。
最後は「人」なんです。
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